GUIDE — 算定(令和8年度)

口腔機能低下症の算定(令和8年度)──管理料1・2、検査、実地指導の組み立て

令和8年度診療報酬改定(2026年6月施行)で、口腔機能管理料は1・2の2区分になり、口腔粘膜湿潤度検査と口腔機能実地指導料が新設されました。この記事では、告示・通知の原文と厚生労働省の改定概要をもとに、口腔機能低下症の点数・算定要件と、診断から継続管理までの算定の組み立てを整理します。

7項目の検査方法・基準値と診断基準は、「口腔機能低下症とは──7項目の検査・診断基準・使う機器」で解説しています。

POINTS — この記事の要点

  • 口腔機能管理料1=90点(指定の検査を実施した患者)、管理料2=50点(それ以外の口腔機能低下症の患者)。どちらも月1回
  • 管理料1の指定検査は5つ(口腔細菌定量検査2・咀嚼能力検査1・咬合圧検査1・口腔粘膜湿潤度検査・舌圧検査)。検査はそれぞれ3月に1回
  • 口腔機能実地指導料46点は新設で、施設基準の届出が必要。研修の要件は令和9年5月31日まで経過措置
  • 歯科疾患管理料は90点に統一。口腔機能管理料は、歯科疾患管理料などを算定した患者が対象

令和8年度改定で変わった口腔機能低下症の算定

項目令和6年度令和8年度
口腔機能管理料60点(1区分)管理料1 90点/管理料2 50点
管理料の要件となる検査4つ(咀嚼能力・咬合圧・舌圧・口腔細菌定量)5つ(口腔粘膜湿潤度検査を追加)
口腔粘膜湿潤度検査なし新設 130点
歯科衛生士の口腔機能の指導歯科衛生実地指導料の口腔機能指導加算口腔機能実地指導料 46点を新設(加算は削除)
歯科疾患管理料100点(初診月は100分の80)90点
3検査の施設基準口腔細菌定量・咀嚼能力・咬合圧検査に施設基準あり削除(届出は不要に)

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】」(資料内 p23・24・51・73・81)。1点=10円。

口腔機能管理料1・2の違いと算定要件

口腔機能管理料1口腔機能管理料2
点数90点50点
対象指定の5検査のいずれかを実施した口腔機能低下症の患者口腔機能低下症の患者(管理料1の対象を除く)
回数月1回月1回
情報通信機器を用いた場合78点44点

区分を分ける条件は、告示 B000-4-3 の注2・注3にあります(注1は要旨のみ抜粋)。

注1 区分番号B000-4に掲げる歯科疾患管理料又は区分番号B002に掲げる歯科特定疾患療養管理料を算定した患者であって、口腔機能低下症の患者に対して、口腔機能の回復又は維持を目的として、(中略)管理計画を作成し、当該管理計画に基づき、口腔機能の管理を行った場合に、月1回に限り算定する。
注2 1については、D002-6に掲げる口腔細菌定量検査(2に限る。)、D011-2に掲げる咀嚼能力検査(1に限る。)、D011-3に掲げる咬合圧検査(1に限る。)、D011-5に掲げる口腔粘膜湿潤度検査又はD012に掲げる舌圧検査のいずれかを実施した口腔機能低下症の患者に対して注1に規定する管理をする場合に当該管理料を算定する。
注3 2については、口腔機能低下症の患者(注2に規定する患者を除く。)に対して注1に規定する管理をする場合に当該管理料を算定する。
(令和8年 歯科診療報酬点数表 B000-4-3 口腔機能管理料)

指定の5検査は、いずれも専用機器を使う検査です。そのため、TCI・サクソンテスト・残存歯数・オーラルディアドコキネシス・咀嚼能率スコア法・EAT-10などの機器を使わない検査だけで診断した患者は、管理料2の対象になります。

口腔機能管理料の算定要件(1・2共通)

通知(1)は、対象を「50歳以上の歯の喪失や加齢、これら以外の全身的な疾患等による口腔機能低下症の患者」と書いています。

口腔機能管理料1は、検査をしない月も算定できるか

注2が定めている条件は「いずれかを実施した口腔機能低下症の患者」で、「検査を実施した月」ではありません。注1は「月1回に限り算定する」とし、通知(1)〜(4)にも、その月に検査することを求める記載はありません。

そのため、文言の上では、指定の検査を実施した患者には、検査をしない月も管理料1を月1回算定できると読めます。検査そのものは、それぞれ3月に1回が上限です。

ただし、最後の検査からいつまで「実施した患者」として扱えるか(期限)は、告示にも通知にも書かれていません。疑義解釈についても、この記事の執筆時点では該当する問答を確認できていません。

検査の間隔は、患者の状態と管理計画に基づいて判断します。日本歯科医学会の資料では、再評価は概ね6か月ごと、咬合力・舌圧・咀嚼能力は必要に応じて3か月ごとの検査が示されています。各検査の「3月に1回」は算定できる頻度の上限であり、管理料1を続けるための条件を示したものではありません。長い間検査をしていない患者の扱いは、地域の審査の考え方を確認してください。

口腔機能低下症の精密検査の点数と算定頻度

検査(区分番号)点数頻度(低下症)対応する下位症状
舌圧検査(D012)140点3月に1回低舌圧
咀嚼能力検査1(D011-2)140点3月に1回咀嚼機能低下(咀嚼能力検査)
咬合圧検査1(D011-3)130点3月に1回咬合力低下(咬合力検査)
口腔粘膜湿潤度検査(D011-5)130点3月に1回口腔乾燥(口腔粘膜湿潤度)
口腔細菌定量検査2(D002-6)65点3月に1回口腔衛生状態不良(舌背上の微生物数)

出典:令和8年 歯科診療報酬点数表 D002-6・D011-2・D011-3・D011-5・D012 の告示と通知。

歯科疾患管理料との関係(90点)

口腔機能管理料は、歯科疾患管理料(または歯科特定疾患療養管理料)を算定した患者が対象です。歯科疾患管理料は令和8年度に90点になり、初診月の100分の80の規定はなくなりました。

口腔機能実地指導料(46点)の算定要件と施設基準

令和8年度改定前(令和8年5月診療分まで)は歯科衛生実地指導料の加算だった歯科衛生士による口腔機能の指導が、令和8年度に口腔機能実地指導料(B001-2-2・46点)として独立しました。口腔機能指導加算は削除されています。

算定要件

施設基準と経過措置

歯科口腔リハビリテーション料3(口腔機能の低下:50点)

歯科口腔リハビリテーション料3の「2 口腔機能の低下を来している患者の場合」(H001-4・50点)は、口腔機能管理料または歯科疾患在宅療養管理料を算定する患者に、口腔機能の回復または維持を目的として療養上必要な指導・訓練を行った場合に、月2回まで算定します(注2)。摂食機能療法を算定した日は算定できず(注3)、指導・訓練内容の要点を診療録に記載します。

口腔機能低下症の算定の組み立て:診断から継続管理まで

  1. 診断の前:傷病名「口腔機能低下症の疑い」で、診断を目的に精密検査を行う。専用機器の検査(指定の5検査)を行ったかどうかが、後の管理料の区分に関わる。
  2. 診断:7項目中3項目以上の該当で口腔機能低下症。管理計画を作成して患者等の同意を得て、文書で提供する。歯科疾患管理料の管理計画にも、口腔機能の検査結果を踏まえた方針を含める。
  3. 毎月の管理(外来の例):歯科疾患管理料(月1回)と、口腔機能管理料1または2(月1回)。指定の検査を実施した患者は管理料1、それ以外は管理料2。
  4. 指導・訓練:歯科口腔リハビリテーション料3(月2回まで)。施設基準を届け出た医院は、口腔機能実地指導料(月1回)。同じ日に内容が重なる場合、実地指導料は算定できない。
  5. 検査:指定の検査はそれぞれ3月に1回まで。咀嚼能力検査と咬合圧検査は、3月以内に両方は算定できない。
  6. 再評価:「基本的な考え方」では、概ね6か月ごとに精密検査で再評価し、管理計画書を作成・交付する。

検査の結果が3項目に届かず「口腔機能管理中」とした患者は、口腔機能管理料の対象になりません(管理料は口腔機能低下症の患者が対象・注1)。歯科口腔リハビリテーション料3(2)も、口腔機能管理料または歯科疾患在宅療養管理料を算定する患者が対象です。傷病名の整理は「傷病名の3段階」をご覧ください。

口腔機能管理料の算定についてよくある質問

口腔機能管理料1と2の違いは何ですか?

管理料1(90点)は、口腔細菌定量検査2・咀嚼能力検査1・咬合圧検査1・口腔粘膜湿潤度検査・舌圧検査のいずれかを実施した口腔機能低下症の患者が対象です。管理料2(50点)は、それ以外の口腔機能低下症の患者が対象です。どちらも月1回に限り算定します(告示 B000-4-3 注1〜3)。

機器を使わない検査だけで診断した患者は、管理料1と2のどちらですか?

管理料1の要件となる5つの検査はいずれも専用機器を使う検査です。TCI・サクソンテスト・残存歯数・オーラルディアドコキネシス・咀嚼能率スコア法・EAT-10などだけで診断した患者は、指定の検査を実施していないため、管理料2の対象になります。

咀嚼能力検査と咬合圧検査は同じ時期に算定できますか?

できません。どちらかを算定した月から起算して3月以内に行ったもう一方の検査は、別に算定できません(D011-2 注4、D011-3 注4)。

口腔機能実地指導料の研修はいつまでに受ければよいですか?

研修を受講した歯科衛生士の配置の要件は、令和9年5月31日までの間は満たしているものとみなされます。この間の届出では、様式17の4に受講歴の代わりに「令和9年5月までに受講予定である旨」を記載すればよいとされています。令和9年6月診療分以降も算定する場合は、受講歴を記載したうえで、あらためて施設基準の届出が必要です。受講が認められなかった場合や受講を中断する場合は、遅滞なく届出を辞退します(令和8年度 疑義解釈その1 歯科 問8)。

算定の目安と管理計画書をアプリで確認する

口腔機能管理くんのアイコン

「口腔機能管理くん」は、歯科医院向けの口腔機能管理アプリです。7項目の検査結果を記録すると、学会の基準値に照らして該当項目を集計し、評価の結果に応じて関係する保険算定項目と点数の目安をアプリ内に表示します。管理計画書はPDFで作成でき、前回の検査から期間がたった患者さんはホーム画面に一覧で表示されます。

iPhone・iPad・Android 対応/月額1,000円・年額9,800円(税込)、すべてのプランに1か月の無料トライアル。※ 記録と書類作成を支援するアプリで、医療機器ではありません。診断は歯科医師が行い、算定の可否は各医院でご確認ください。

口腔機能管理くんの詳細を見る

出典

  1. 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】」(資料内 p23 歯科疾患管理料、p24 口腔機能管理料、p51 口腔機能実地指導料、p73 検査の施設基準の撤廃、p81 口腔粘膜湿潤度検査、p106 施設基準の届出) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001671913.pdf
  2. 令和8年 歯科診療報酬点数表 B000-4-3 口腔機能管理料(告示・通知。しろぼんねっと掲載) https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa1/r08s21_B000_4_3.html
  3. 同 B000-4 歯科疾患管理料 https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa1/r08s21_B000_4.html
  4. 同 B001-2-2 口腔機能実地指導料 https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa1/r08s21_B001_2_2.html
  5. 同 D002-6 口腔細菌定量検査 https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa3/r08s23_sec1/r08s231_cls1/r08s2311_D002_6.html
  6. 同 D011-2 咀嚼能力検査 https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa3/r08s23_sec1/r08s231_cls2/r08s2312_D011_2.html
  7. 同 D011-3 咬合圧検査 https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa3/r08s23_sec1/r08s231_cls2/r08s2312_D011_3.html
  8. 同 D011-5 口腔粘膜湿潤度検査 https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa3/r08s23_sec1/r08s231_cls2/r08s2312_D011_5.html
  9. 同 D012 舌圧検査 https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa3/r08s23_sec1/r08s231_cls2/r08s2312_D012.html
  10. 同 H001-4 歯科口腔リハビリテーション料3 https://shirobon.net/medicalfee/latest/shika/r08_shika/r08s_ch2/r08s2_pa7/r08s27_sec1/r08s271_H001_4.html
  11. 関東信越厚生局「口腔機能実地指導料の施設基準に係る届出書添付書類(様式17の4)」 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/r8-t17-4.pdf
  12. 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その1)」令和8年3月23日 歯科診療報酬点数表関係 問8(中国四国厚生局掲載) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/chugokushikoku/000480355.pdf
  13. 日本歯科医学会「口腔機能低下症に関する基本的な考え方」(令和8年3月) https://www.jads.jp/assets/pdf/basic/r08/document-260511.pdf

各資料は2026年10月21日に確認しました。この記事は算定の考え方を整理したもので、個別の算定の可否を保証するものではありません。最新の告示・通知・疑義解釈と、地域の審査の取扱いでご確認ください。