GUIDE — 基準値
口腔機能検査の基準値一覧──舌圧・口唇閉鎖力・咬合力など(大人・小児)
口腔機能の検査値を評価するときに使う基準値を、1ページにまとめました。大人の口腔機能低下症で使う7項目の基準値と、小児の口腔機能発達不全症で使う口唇閉鎖力・舌圧の年齢別の値、体格の指数の区分を、日本歯科医学会の資料に沿って一覧にしています。
検査の方法と機器、診断基準は「口腔機能低下症とは──7項目の検査・診断基準・使う機器」と「口腔機能発達不全症のチェックリストとC項目の見方」で解説しています。
POINTS — この記事の要点
- 大人(口腔機能低下症)の舌圧は、年齢を問わず30kPa未満が該当
- 小児の舌圧と口唇閉鎖力は、年齢別の値と比べて評価する(例:5歳の舌圧のcut-off値は12.0kPa)
- 咬合力の基準は機器と解析の条件で違う(デンタルプレスケールⅡは圧力フィルタありで350N未満、なしで500N未満 など)
- 体格は、6歳未満はカウプ指数、6歳以上はローレル指数で見る
口腔機能低下症(大人)7項目の基準値
口腔機能低下症は、7つの下位症状のうち3項目以上に該当した場合に診断されます。検査方法が2つ示されている項目は、どちらを用いてもかまいません。(この記事では、口腔機能低下症の基準を「大人」、口腔機能発達不全症の基準を「小児」と書いています。資料に年齢の区切りが示されているわけではありません。)
| 下位症状 | 検査 | 該当する値 |
|---|---|---|
| ① 口腔衛生状態不良 | 舌背上の微生物数 | 3.162×106 CFU/mL以上(レベル4以上) |
| 舌苔の付着程度(TCI) | 50%以上(合計スコア9点以上) | |
| ② 口腔乾燥 | 口腔粘膜湿潤度 | 27.0未満 |
| 唾液量(サクソンテスト) | 2分間で2g以下の重量増加 | |
| ③ 咬合力低下 | 咬合力検査 | デンタルプレスケールⅡ:圧力フィルタあり 350N未満/なし 500N未満 デンタルプレスケール:200N未満 Oramo-bf・Oramo2(Uセンサー):375N未満 |
| 残存歯数 | 20本未満(残根と動揺度3の歯を除く) | |
| ④ 舌口唇運動機能低下 | オーラルディアドコキネシス | /pa/・/ta/・/ka/ のいずれかが6回/秒未満 |
| ⑤ 低舌圧 | 舌圧検査 | 30kPa未満 |
| ⑥ 咀嚼機能低下 | 咀嚼能力検査(グルコース溶出量) | 100mg/dL未満 |
| 咀嚼能率スコア法 | スコア0・1・2 | |
| ⑦ 嚥下機能低下 | 嚥下スクリーニング検査(EAT-10) | 合計3点以上 |
| 自記式質問票(聖隷式嚥下質問紙) | 15項目のうち A が1つ以上 |
出典:日本歯科医学会「口腔機能低下症に関する基本的な考え方」(令和8年3月)本文および別添2「口腔機能精密検査 記録用紙」。
咬合力検査と残存歯数の両方を調べた場合は、咬合力検査の結果を優先します。舌口唇運動機能・舌圧・咀嚼機能の検査と咬合力検査は、義歯を使っている人は義歯を装着した状態で測ります。
小児の口唇閉鎖力の基準値(年齢・性別)
口腔機能発達不全症では、口唇閉鎖力を年齢・性別ごとの平均値と-1SDと比べて評価します。
| 年齢 | 男児 平均値(N) | 男児 -1SD(N) | 女児 平均値(N) | 女児 -1SD(N) |
|---|---|---|---|---|
| 3歳 | 3.7 | 2.1 | 3.5 | 1.9 |
| 4歳 | 5.1 | 3.0 | 4.8 | 2.8 |
| 5歳 | 6.5 | 4.1 | 6.1 | 3.8 |
| 6歳 | 8.4 | 5.5 | 7.1 | 4.6 |
| 7歳 | 9.9 | 6.6 | 7.8 | 5.1 |
| 8歳 | 9.8 | 6.5 | 8.0 | 5.0 |
| 9歳 | 9.5 | 6.0 | 7.8 | 4.7 |
| 10歳 | 9.1 | 5.7 | 7.7 | 4.6 |
| 11歳 | 9.1 | 5.8 | 8.4 | 5.3 |
| 12歳 | 10.1 | 6.9 | 9.2 | 6.1 |
| 15歳 | 13.4 | 10.5 | 12.0 | 9.6 |
| 18歳 | 14.2 | 11.6 | 12.6 | 10.6 |
出典:日本歯科医学会「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」(令和6年3月)「口唇閉鎖力の平均値と標準偏差(-1SD)」(歯科用口唇筋力固定装置 りっぷるくん によるデータ)。資料に13・14・16・17歳の値は載っていません。
口唇閉鎖力が低い値(-1SD以下)を示し、安静時や摂食時に口唇閉鎖を認めない・口呼吸などの所見がある場合に、口唇閉鎖力が不足していると判断します。成長の個人差が大きいため、その時点の値だけで評価せず、身長・体重のように成長曲線の中で評価していくとされています。
小児の舌圧の基準値(年齢別のcut-off値)
小児の舌圧は、年齢別の最大舌圧の平均値とcut-off値が示されています。各年齢のcut-off値以下を低舌圧とします。
| 年齢 | 最大舌圧の平均値(kPa) | cut-off値(kPa) |
|---|---|---|
| 3歳 | 11.82 | 4.0 |
| 4歳 | 16.67 | 9.0 |
| 5歳 | 22.1 | 12.0 |
| 6歳 | 25.38 | 17.0 |
| 7歳 | 32.46 | 24.0 |
| 8歳 | 32.1 | 24.0 |
| 9歳 | 35.33 | 26.0 |
| 10歳 | 32.82 | 26.0 |
| 11歳 | 37.52 | 31.0 |
| 12歳 | 37.48 | 31.0 |
出典:日本歯科医学会「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」(令和6年3月)「最大舌圧の平均値(kPa)」(Ichikawa M. et al., Pediatr Dent J, 2016 および Asami T. et al., Dent Oral Craniofac Res, 2017 より引用作成)。資料に13歳以上の値は載っていません。
原資料のC-17の評価基準には「-1SDをcut-off値として」と書かれていますが、年齢別の表の「平均値-1SD」と「cut-off値」は一致しない年齢があります(例:7歳は平均値-1SDが28.37kPa、cut-off値は24.0kPa)。この表は、原資料の「cut-off値」の欄をそのまま載せています。また、-1SD以下でなくても、経時的に低下を示す場合は口腔機能発達不全症の可能性があるとされています。
口唇閉鎖力・舌圧のどちらの検査も、十分に発達していない小児には、必要に応じて3か月に1回のペースで測定します。
舌圧の基準:大人と小児の違い
- 大人(口腔機能低下症):年齢による区別はなく、30kPa未満が低舌圧
- 小児(口腔機能発達不全症):年齢別のcut-off値以下が低舌圧(3歳 4.0kPa 〜 12歳 31.0kPa)
2つは別の基準で、使う場面(口腔機能低下症の検査か、口腔機能発達不全症の検査か)によって使い分けます。測定には、どちらもJMS舌圧測定器(TPM-01またはTPM-02)につないだ舌圧プローブを使い、舌と口蓋の間で随意的に最大の力で数秒間押しつぶしてもらって最大舌圧を測ります。
体格の区分(カウプ指数・ローレル指数)
口腔機能発達不全症のチェックリストでは、体格をカウプ指数(6歳未満)とローレル指数(6歳以上)で見ます。体重・身長から指数と区分をその場で計算したいときは、カウプ指数・ローレル指数の計算ツール(無料・登録不要)を使えます。
| カウプ指数(6歳未満) | 判定 | ローレル指数(6歳以上) | 判定 |
|---|---|---|---|
| 22以上 | 肥満 | 160以上 | 肥満 |
| 19〜22未満 | 肥満傾向 | 145〜160未満 | 肥満気味 |
| 15〜19未満 | 正常範囲 | 115〜145未満 | 標準 |
| 13〜15未満 | やせぎみ | 100〜115未満 | やせぎみ |
| 10〜13未満 | やせ | 100未満 | やせ |
出典:「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」(令和6年3月)別紙1・別紙2の参考資料。カウプ指数=体重(g)÷身長(cm)2×10、ローレル指数=体重(g)÷身長(cm)3×104。
離乳完了後のチェックリストのC-13「やせ、または肥満である」に該当するのは、乳幼児期はカウプ指数15未満または22以上、学童期はローレル指数100未満または160以上です。
口腔機能検査の基準値についてよくある質問
舌圧の基準値はいくつですか?
大人(口腔機能低下症)は、年齢を問わず30kPa未満を低舌圧とします。小児(口腔機能発達不全症)は年齢によって違い、日本歯科医学会の資料ではcut-off値が3歳4.0kPaから12歳31.0kPaまで年齢別に示されています。
口唇閉鎖力の基準値はいくつですか?
小児では、年齢・性別ごとの平均値と-1SDが示されており、-1SD以下で、安静時や摂食時に口唇閉鎖を認めない・口呼吸などの所見がある場合に、口唇閉鎖力が不足していると判断します。例えば6歳は男児の-1SDが5.5N、女児が4.6Nです。口腔機能低下症の7項目には、口唇閉鎖力の検査は含まれていません。
咬合力の基準値は機器によって違いますか?
違います。口腔機能低下症の基準は、デンタルプレスケールⅡでは圧力フィルタによる自動クリーニングありが350N未満、なしが500N未満、デンタルプレスケールが200N未満、Oramo-bf・Oramo2(Uセンサー)が375N未満です。
13歳以上の小児の舌圧は、どの基準で見ればよいですか?
日本歯科医学会「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」(令和6年3月)の年齢別の表には、13歳以上の舌圧の値は載っていません。この記事では資料にない値は補っていません。評価の方法は、担当の歯科医師が判断してください。
検査値の記録と管理計画書をアプリで
「口腔機能管理くん」は、歯科医院向けの口腔機能管理アプリです。口腔機能低下症の7項目の検査値を入力すると、日本歯科医学会の基準値に照らして該当項目を集計します。口腔機能発達不全症では、口唇閉鎖力・舌圧の値を年齢別の基準値と並べて記録でき、体格指数の計算、管理計画書やチェックリストのPDF作成にも対応しています。
iPhone・iPad・Android 対応/月額1,000円・年額9,800円(税込)、すべてのプランに1か月の無料トライアル。※ 記録と書類作成を支援するアプリで、医療機器ではありません。診断は歯科医師が行います。
口腔機能管理くんの詳細を見る出典
- 日本歯科医学会「口腔機能低下症に関する基本的な考え方」(令和8年3月) https://www.jads.jp/assets/pdf/basic/r08/document-260511.pdf
- 日本歯科医学会「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」(令和6年3月。本文、チェックリストの各項目に関する評価基準、参考資料) https://www.jads.jp/assets/pdf/basic/r06/document-240402-2.pdf
各資料は2026年11月4日に確認しました。この記事は基準値を一覧にまとめたもので、個別の診断を示すものではありません。